幸せになれないのはなぜ?ヒルティ幸福論 #7

この記事を読んでもらいたい人
  • 幸せになれない人。
  • 幸せになるように頑張っているのになぜか幸せになれない。
  • お金が重要だと思っている人
  • 仕事が嫌だと思っている人
  • 幸せになる方法が知りたい人

 

なぜか幸せになれない・・・

幸せになるように頑張っているのになぜか幸せになれない。

 

それは、目指している幸福が、実は幸福には繋がらないことであったりとか、幸福になれることをしていても、途中で幸福を諦めてしまうためと哲学者のヒルティは言います。

そんなヒルティの幸福論の中から、「幸せになれない理由」を紹介したいと思います。

 

ちなみにヒルティはこんな人。

カール・ヒルティ

ひげもじゃ おじさんです。

キリスト教徒として有名な哲学者ですが、この人の幸福論は、絵空事ではなく超実践的な幸せになる方法を僕たちに教えてくれます。

そんなヒルティは「幸せになれない理由」に対してこう言います。

ヒルティの言葉

  • ひとが意識に目ざめた最初の時から意識が消えるまで、最も熱心に求めてやまないものは、何といってもやはり幸福の感情である。
  • われわれは、自分自身の経験によって、幸福をもたらすことのない多くのものを、あらかじめ知っておかねばならぬ。
    多くのあやまった幸福への道(中略)。この道の上を、新しい世代の人々は常に繰り返して満たされぬ憧れをいだいてさまようのである。
  • 今日の厭世(えんせい)的な気分の基調は、そのほどんどが、そのような道のどれを選んでも幸福は逃げやすくしたがってなかなか予想通りに幸福は得られない。僕たちは幸福になることを目指しているのに、幸福になれないことがあります。

 

解説

ヒルティの言葉は難しいので、解説します。僕たちは幸福になることを目指しているのに、幸福になれないことがあります。 その原因は2つあります。

  1. 目指している幸福が実は幸福ではなく、むしろ不幸になるものであるため。
  2. 幸福になれることをしていても、途中で幸福を諦めてしまうため

 

1つ目の目指している幸福が実は幸福ではなく、むしろ不幸になるものであるためから見ていきましょう。

 

目指している幸福が実は幸福ではなく、むしろ不幸になるもの

 

ヒルティの言葉

 

「目指している幸福が実は幸福ではなく、むしろ不幸になるもの」についてヒルティはいいます。

  • 富、名誉、生の享楽一般、健康、文化、科学、芸術などがあり、(中略)これらの外的な手段はすべて、だれでも容易に手に入れるわけにいかず、
    したがって人類全体の幸福をきずくことができず、その上、高尚な精神の人には、良心のやましさを伴う享楽以外の何物も与えないという点で、すでにきわめて大きな欠点を持つのである。

 

解説

富や名誉、享楽は、人類全員が得ることができないものです。だから、これらを求めると不幸な人がでることは当たり前です。そして、これらが得られたとしても幸せにはなれません。

ここでは、富と享楽について解説します。

まず、富について

富について

 

ヒルティの言葉

ヒルティはいいます。

  • 大きな財産の所有と管理、大きな名誉や権力を伴う地位は、ほとんど絶対確実に、おおよそ幸福とは正反対の、心情の硬化を導くものである。
  • このような人生の財産を享楽しながら、毎日自分のかたわらに零落してゆく数百万の人々があることを思えば、心の賤しい人ではないかぎり、だれしも内心のひそかな痛みを覚えるだろう。
  • 財産所有者は、公けの利益のためにこれを管理して、財産の奴隷となることなく、それの主人でなるように心がけねばならぬ。

 

ここではお金持ちの話をしていて、ヒルティは、お金に依存せず、社会に役立つために財産を使うべきであるといっています。

ヒルティは理想的な社会主義国家を目指すべきであると考えているので、
能力の高い人が社会に役立つために財産を使うべきという考えをしていて、
財産を使わなければ、その人自身が後ろめたい気持ちになるといっています。

僕にはピンと来ませんでしたが、きっと自分のできることが増えれば増えるほど、
自分自身だけが財産を使っていることに後ろめたさを感じるのではないかと思います。

ただ、お金持ちではなくたって、お金に僕たちは依存しています。
お金を得るために、自分がしたいことを断念する。
お金が得られないものについては、価値がないとまで思ってしまうことがあります。

僕たちは気づかない間にお金の奴隷になっています。

あなたはお金の奴隷にならず、自由に生きれてはいますでしょうか?

 

享楽について

 

ヒルティの言葉

思いのまま快楽にふける

ヒルティはいいます。

  • ヒルティはゲーテの言葉を引用します。
    結局わたしの生活は苦労と仕事よりほかの何物でもなかった。わたしの七十五年の間に、本当に楽しかったのは四週間とはなかったといっていい。それは、たえず新たに運び上げようとしても永遠に転がり落ちる石であった。
  • 教育上の大きな妨げの一つは、人間の空想そのものではなく、その空想と人間の実際の享楽能力とのへただりである。自分の願望を、その想像力によってではなく、自己の能力に合わせて調整することを、ひとは後になって、それは多くはただ経験によって初めて学ぶのである。
  • 享楽は、たとえそれが最高にして最良のものであっても、働きの合い間にただ少量だけ用いる薬味であり、気分転換であるべきで、これを過度に用いるものはみな、自分を欺いて結局ひどい目に会うのである。
  • 人間に本当のよろこびを与えるものはすべて人間の天性の要求によるものであるが、しかしこの要求はたいてい正しい働きによって呼び覚まされるのであって、その他の仕方で決して勝手に作り出すわけにはいかない。

解説

享楽等は際限がなく、いつまでも満ち足りた気持ちになれません。得られるものが増えれば増えるほど、漫画とかゲームとか服とか電化製品とか時計とか車とか、次々に目新しいものが欲しくなります。

そんなことを続けていると、いつも欲しい物が出てきていつまでも満たされることはありません。
そして全てを得るのは不可能です。

僕たちが本当の意味で満たされるものは、一体何でしょうか。
それが、漫画とか、ゲームとか服とか電化製品とか時計と車でしょうか。
僕たちはそれに多くの時間を割くよりも、もっとやるべきことがあるのではないでしょうか。

仕事をして、自分の出来ることを少しずつ増やして、世の中に生み出していく、
そうして生み出したものは、必然的にあなたに愛を教えてくれて、
自分が死んだとしても、その生み出したものは生き続けます。

そんな生き方のほうがヒルティは幸せではないかといっている気がします。

アンパンマンのテーマの言葉をいいます。

なんのために生まれて なにをして生きるのか

答えられないなんて そんなのはいやだ!

生きている理由を、きちんと考えてもいいのかも知れません。

 

幸福になれることをしていても、途中で不幸を感じ幸福を諦めてしまう理由

 

ヒルティの言葉

ヒルティはいいます。

 

  • この地上では現実に幸福は見つからないものだと完全に確信した瞬間はおよそ人が経験する最も痛ましい瞬間である。
  • 義務の履行、徳、やましくない良心、仕事、公共の事業、愛国、ひろい意味の人間愛、または教会的な考え方など(中略)が、よほど利口である。
  • 今日の厭世(えんせい)的な気分の基調は、そのほどんどが、そのような道のどれを選んでも幸福は逃げやすくしたがってなかなか予想通りに幸福は得られない。

解説

人は幸福を求めます。ヒルティは愛、仕事、徳のあることをすると幸せになれるといいます。

でも、それを目指したとしても、そんな簡単に幸福になることは出来ません。

そして、幸福になれないとわかったとき人は絶望し、そして世界を嫌になってしまいます。

でもどんなときに人は幸福になれないと思うのかを知っていれば、それに対応することはできます。

幸せになることを諦める理由を、見ていきましょう。

愛を諦めてしまう理由

 

まず、愛が幸福な理由になりますが、その理由は2つあります。

  1. 人は愛することでそのものを好きになっていきます。好きなものが多いと人は幸せになります。
  2. 孤独ではなくなります。人は他者と接することで幸せを感じます。

 

 

ヒルティの言葉

そんな人を幸せにする愛について、愛することを途中で挫折してしまう理由についてヒルティは言います。

  • 愛は元来、神性の一部であって、人間の心には生まれないものである。本当に愛を持つ人は、それが自分の所有でないことはっきり知っているだろう。
  • 人間の心に宿った愛のかすかな写影でさえも、人に幸福を与えはするが、しかしそれはただ、時たまであり、また、常に他人の意志に拠っている愛の返しというきわめて不確実な前提のもとにたつのである。
  • われわれが今日多くの人の口から聞く憎悪の讃美は、毎日幾百万の人々がくりかえす悲痛な愛の経験の結果にほかならないのである。

解説

愛するとそれの見返りとして愛されることを求めてしまいます。

でも、こちらが愛しても、相手から愛されるとは限りません。それは相手次第です。

愛されていないと感じると人は不幸を感じてしまいます。

でも、そもそも愛されるために、あなたは愛しているのでしょうか?

それならば、愛はなんだかちっぽけですよね。

愛は見返りを求めるものではなく、人から人へと受け継がれるものだと思います。

自分が親や友達に受けた愛は、その親よりもっともっと昔から受け継がれているものです。

僕たちは愛があるからこそ、今ここにいるのです。

そう考えるとなんだか愛することに対する考え方が変わってくるのではないでしょうか。

愛はもともと人に与えるもので、もらうものではないのかもしれません。

 

ヒルティの言葉

まず、仕事が幸福な理由についてヒルティはこう言います。

  • 仕事は、人間の幸福の一つの大きな要素である。(中略)人は幸福であろうとすれば、「一週に六日働かなければならない。」
    また「自分の額に汗してパンを食わなければならない」この成功の二つの前提を避ける者は、幸福を追求する人のなかで最大の愚者である。
  • 真の仕事ならどんなものであっても、必ず真面目にそれに没頭すれば間もなく興味がわいてくるという性質を持っている。
    人を幸福にするのは、仕事の種類ではなく、創造と成功とのよろこびである 

解説

仕事をすることは幸せにつながります。仕事は人のためになりますし、自分の創造性を発揮でき、成功を感じることもできます。

仕事を嫌いになってしまう理由

 

ヒルティの言葉

ヒルティはいいます。

 

  • 大きな誇りをもって自ら「労働者」と称している人達でもみな、結局できるだけ「正規の労働時間」を切り下げたいと考えている。もしも働きそのものが本来幸福と同じ意味であるなら、彼らはできるだけ働く時間をふやそうと務めるだろう。
  • 賢い人ほどよく自分の仕事の欠点を知っている、その日の仕事を終えて、「見よ、すべては良い!」ということの出来た人は、未だかつて一人もなかった。
    だから、声高な労働讃美の裏には、たいてい、自分をも他人をも仕事に駆り立てずにおかない拍車や鞭のようなものが隠れているのである。

 

解説

仕事が嫌になる理由は、仕事自体にあるのではありません。

長い時間仕事をしないといけなかったり、嫌いな人と仕事をしないといけなかったりするためです。

そんなことに惑わされて、本来の仕事の喜びを得られないのはすごく悲しいことです。

自分の仕事ではないことは断って、嫌いな人からは遠ざかって、創造性を発揮できる環境をつくり、仕事をしていきましょう。

 

まとめ

みんなが幸福になれるものと思っているけど、実は、人を不幸にするものは、以下の2つになります、

  1. 富について
    お金に僕たちは依存しています。お金を得るために、自分がしたいことを断念する。
    お金が得られないものについては、価値がないとまで思ってしまうことがあります。
    お金の奴隷になってしまっては、自分がしたいことは出来ません。
    本当にあなたがしたいことにお金は必要でしょうか?
  2. 享楽について
    享楽等は際限がなく、次々に目新しいものが欲しくなります。そんなことを繰り返していても私達はいつまでも満たされません。僕たちが本当の意味で満たされるものは、一体何かを考えてもいいかもしれません。

 

幸福になれることを頑張っているけど、途中で挫折してしまう理由は、

  1. 愛を諦めてしまう理由
    愛することは幸せにつながります。
    ・人は愛することでそのものを好きになっていきます。
    ・人を愛することで、人は孤独ではなくなります。でも、そんな愛に見返りを求めるのはやめましょう。
    愛は見返りを求めるためにあるのではなく、
    与えることで幸せになれるのです。
  2. 仕事を嫌いになってしまう理由
    仕事は本来、他人のために、創造性が発揮できる素晴らしいものです。
    仕事が嫌になる理由は、仕事自体にあるのではありません。自分の仕事ではないことは断って、嫌いな人からは遠ざかって、
    創造性を発揮できる環境をつくり、仕事を頑張りましょう。

 

幸福になるための道はなかなか厳しい道ですね。

でも、人を幸福にするものは、お金とかではなく、誰でも頑張れば得られるもので、

愛と仕事にいきるということは素晴らしいことではないかと思いました。

さいごにヒルティが引用したゲーテの言葉をいいます。

  • 幸福は世の中にあるものだ、しかしわれわれはそれをしらない。いや知っているが、それを尊重することを知らないのだ。

 

なにか思うところはありましたでしょうか。

みなさんの幸せに繋がれば幸いです。

 

参考文献

ヒルティ 幸福論(第1部) 岩波文庫

 

 

ヒルティの幸福論解説の続きはこちら▼「人類全員が幸福になるための方法」について解説しています。

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