人類全員が幸福になるための方法 ヒルティ幸福論 #8

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ヒルティの幸福論から「人類全員が幸福になるための道」について解説しようと思います。

ちなみにヒルティはこんな人。

カール・ヒルティ

ひげもじゃ おじさんです。

キリスト教徒として有名な哲学者ですが、この人の幸福論は、絵空事ではなく超実践的な幸せになる方法を僕たちに教えてくれます

そんなヒルティは「人類全員が幸福になるための方法」に対してこう言います。

ヒルティの言葉

  • 倫理的世界秩序の存在に対する確信、この秩序の中で働くこと、この2つは内的に不可分である
  • 不幸は幸福のために必要だということである。

 

解説

ヒルティは人類全員が幸福になるためには3つの実施が必要だといっています。

  1. 倫理的世界秩序に対する堅い信仰
    争いのない世界があることを信じ、人として正しい生き方をする。
  2. 倫理的世界秩序の中で働く
    事業を発展することを目的とせず、他人のために仕事をする。
  3. 不幸を受け入れること
    不幸を受け入れ、人のことを思う愛と、自らの罪に抗う勇気を持つ。

 

1つ目の倫理的世界秩序に対する堅い信仰から解説していきます。

倫理的世界秩序に対する堅い信仰

ヒルティの言葉

ヒルティは倫理的世界秩序に対する堅い信仰についてこう言います。

 

  • 幸福の第一の、絶対に欠くことのできない条件は、倫理的世界秩序に対する堅い信仰である
  • 秩序なしに、世界はただ偶然によって、あるいは、弱者に対する取り扱いはほとんど残酷なまでに厳しい自然法則によって、支配され、または人間の策略と暴力とによって動かされるものだとするならば、個人の幸福などは問題にならない。
  • 倫理的世界秩序を教理化することは不可能である。すでに古代人の見解に従っても、神は見ることの出来ないものである。
  • ただ、一つの開かれた道は山上の垂訓に示されている道である。

解説

ヒルティは人類全員が幸福になるためには、倫理的な秩序が必要だといっていますが、 その秩序を人に実施してもらうことはできないといいます。

倫理的な秩序は、その人が経験していないと真の意味で理解することはできません。
そのため、秩序を体系的に説明することができても、それをその人自身が本当の意味で理解することは難しいといっています。

そして、その秩序自体は、山上の垂訓に示されているとヒルティは言います。

山上の垂訓とは、キリストの説教になります。

 山上の垂訓とは
キリストが山の上で群衆を前に弟子たちにしたとされる説教。この山上の垂訓はマタイによる福音書の五章から八章に記載されています。

 

今回は山上の垂訓の中から、特にヒルティの幸福論の内容に近いものをピックアップして紹介します。
キリストの言葉は、マタイによる複音書から引用していて、ヒルティの言葉はそれに近しい内容を幸福論から引用しています。

マタイによる福音書 五章四四節

 

キリスト
敵を愛し、迫害する者のために祈れ。
カール・ヒルティ
ヒルティ

われわれはどんな価を払っても、われわれ自身のために習慣的に、すべての人々を愛するようにつとめなければならない。人々が愛に価するかどうかは問うことはなしに。
なぜならそれを誤りなく判断することはきわめて困難だからである。

マタイによる福音書 六章一節
キリスト
自分の義を、見られるために人の前で行わないように、注意しなさい。
もし、そうしないと、天にいますあなたがたの父から報いを受けることがないであろう。
カール・ヒルティ
ヒルティ

ある程度孤独を愛することは、静かな精神の発展のためにも、また、およそ真実の幸福のためにも、絶対に必要である。
人生のいかなる偶然性にも左右されることなく、そして実際に到達することのできる幸福は、ある大きな思想に生きて、 それのためにたゆまず着実な仕事をつづける生活のうちに見出せるものだ。

マタイによる福音書 六章二四節
キリスト
だれも、ふたりの主人に兼ね仕えることはできない。一方を憎んで他方を愛し、あるいは、一方に親しんで他方をうとんじるからである。あなたがたは、神と富とに兼ね仕えることはできない。
カール・ヒルティ
ヒルティ

相容れない二つのものを同時に求めないという習慣を養うべきである。人生の財宝は、堅固(けんご)な道徳的確信、精神の良い教養、愛、誠実、
仕事の能力と仕事のたのしみ、精神および肉体の健康、そしてほどよい財産である。これらと相容れないものは、富、大きな名誉と権力、そして不断の享楽(きょうらく)である

マタイによる福音書 六章三四節

 

キリスト
あすのことを思いわずらうな。あすのことは、あす自身が思いわずらうであろう。一日の苦労は、その日一日だけで十分である。
カール・ヒルティ
ヒルティ

普通にありふれた「明日の心配」でさえ、耐えがたいものである。なぜなら、われわれの力はいつもただ今日の分だけしかないからだ。
想像力は、明日の仕事を見るが、しかし明日の力は見ない。

マタイによる福音書 七章七節
キリスト
求めよ、そうすれば、与えられるであろう。捜せ、そうすれば、見いだすであろう。門をたたけ、そうすれば、あけてもらえるであろう。
カール・ヒルティ
ヒルティ

幸福を得るためには、あらゆる人間の性質の中で、勇気が最も必要である。

マタイによる福音書 七章一三節
キリスト
狭い門からはいれ。滅びにいたる門は大きく、その道は広い。そして、そこからはいって行く者が多い。
カール・ヒルティ
ヒルティ

成功を目当てに生きる者は、心の安らぎ、自分や他人に対する精神の平和、また多くの場合に自尊心をも、初めから断念しなければならないだろう。
人生における真の成功、すなわち、人間としての最高の完成と真に有用な活動とに到達することは、しばしば外面的な不成功をも必然に伴うものである。

マタイによる福音書 七章一四節
キリスト
すべて良い木は良い実を結び、悪い木は悪い実を結ぶ
カール・ヒルティ
ヒルティ

善行に必ず付随する主な報酬は、善は常に善を生み、
こうしてその善行者にいつまでも続く利益を与えるのである。

特に今まで紹介した「幸福論」の内容に関係しそうなところをピックアップしました。
ヒルティの幸福論は、キリスト教の教えを超実践的に記載したもののように感じますね。

 

これらを実践するとどのようになるかについて、ヒルティは以下のようにいいます。

ヒルティの言葉

ヒルティは山上の垂訓を実践するとどのようになるかについてこう言います。

  • 幸福の道はここから開けれている。(中略)それ以後は、心の深奥(しんおう)にある揺るがぬ一点が生じて、絶えない平和と確信とが得られる。それらは外界の嵐に会っても、容易に失われることなく、ますますその力を増してくる。前には傲慢であったり、また落胆したりした心そのものが、今や強固になったのである。

 

解説

山上の垂訓に書かれた行動をすると心が平和になるとヒルティは言います。

キリスト教の教えも、ヒルティの幸福論の内容もとても難しいですが、わたしはヒルティの幸福論の内容の中で、気に入ったところを実生活の中でも取り入れています。それのおかげで、少しは平和に暮らせるようになりました。

あなたの心は平和でしょうか。もし、そうではないとすれば、ヒルティの幸福論を手にとって見るのもいいかも知れません。

 

次に、倫理的世界秩序に対する堅い信仰の後、ヒルティは仕事をすることが重要といいます

倫理的世界秩序の中で働くこと

ヒルティの言葉

ヒルティは倫理的世界秩序の中で働くことについてこう言います。

  • 決然として揺るがぬ信念をもって生活し、感情のうちにではなく、むしろ活動のうちに、幸福の意識という日々の報酬を求めるように努めねばならぬ。こうして初めて正しい仕事というものが生まれるのだ。
  • これはもはや、人が絶えずビクビクしながら仕える偶像ではなく、また、それにおいて自分自身を崇拝する偶像でもない。むしろこれは人間の最も自然な、最も健全な生活であって、こうした生活は、怠惰に基づく多くの精神的な障害から一挙に人を救う。
  • この楽しい仕事は、この世にあるかぎりの最も健全なもので(中略)ある

 

解説

感情に流されず、人のためになる仕事をしましょう。

人が絶えずビクビクしながら仕える偶像とは、お金儲けすることが良いということであり、また、それにおいて自分自身を崇拝する偶像は、お金儲けする人が偉い人という考え方と言えると思います。

仕事は他人のためにすることで、事業を発展することが目的ではありません。

自らの創造性が発揮できる仕事を続けることで、人は健全に生きられます。

 

不幸を受け入れること

ヒルティの言葉

ヒルティは不幸を受け入れることについてこう言います。

  • 不幸は、人間の生活につきものだと言うことである。逆説的にいえば、不幸は幸福のために必要だということである。
  • 不幸は要するに避けがたいものであるから、したがって、ひとはなんらかの仕方で必ずこれと妥協しなければならない。
    人生において到達できることは、ただ自分の運命との完全な和解だけである。
  • 不幸は3つの目的を持ち、同時にまた3つの段階をなしている。
    第一は罰であって、これはいろいろな行為の自然の帰結
    第二は浄化であって、これは人が不幸によってより大きな真面目さと、真理に対する大きな感受力とを得ることによって成り立つ
    第三は自己の試練と強化とである。これは自己の力と神の力とを経験することによって行われる。
  • このような経験をしばしば繰り返すことによって、初めて人はおのれの内に正しい勇気を生ずるのである。
  • 人格の深み、また、われわれが多くの人にすぐきづくゆったりした気風、これは立派に不幸に耐えてきた人にのみそなわる。

解説

自分自身が善い人間になることで、心に平和が訪れ幸せになれるとヒルティは言います。
そして、善い人間になるための手段として、不幸が必要になるとヒルティは言います。

「罰」と「浄化」と「自己の鍛錬と強化」について、ヒルティは簡潔にしか話さないため、わたしなりの考察をします。

まず罰を受ける罪に関して、ヒルティのよく引用しているダンテ神曲から引用します。また、その対比語を徳としてまとめます。

 
高慢謙虚
嫉妬感謝
憤怒忍耐
怠惰勤勉
強欲慈善・寛容
暴食節制
色欲純潔

 

この罪を克服し、徳を得るための手段として不幸が必要とヒルティはいっています。

第一段階 罰ついて

人生を生きていると、自分が意図しようとしまいと、色々な罪を犯してしまいます。
そして、他人や自分の良心により罰を受け苦しみます。
その罰を受けることで、人は変わりたい強く願います。

第二段階 浄化ついて

人は罰を受けることで、変わろうと努力します。
そして、本当に目指すもの(人間はどのように生きるべきかの真理)を考え、
その目指すものの高さを知ります。

第三段階自身の鍛錬と強化について

その目指すものの高さに怖気づくこともあるかもしれませんが、
自らの力を鍛えて勇気を持ち、神の力である愛を胸に善い人間を目指すのです。

 

ここでいう神の力について説明します。

神の力とは?

 

神の力に関係がありそうなヒルティの言葉を紹介します。

ヒルティの言葉

  • 自分自身をある程度容赦なく扱うこと、つまり、おまえの好むと否とにかかわらず、おまえはしなければならぬ、
    と自分自身に向かって言い得るということが真の生活には必要である。

解説

神の力とは~するべきであるという自分自身の心通りに実施する力というものになります。 例えば、なにか正しいことをしようとするとき、きっと~するべきであると考えていると思います。

  • 勉強するべきなのに、ゲームをしてしまう。
  • (電車の中で)席を譲るべきなのに、譲れない。
  • 冷静に話を聞くべきなのに、怒ってしまう。

自分の心はやるべきことを知っています。

その心の声に従うことは、とても大変なことですが、 それを実施したほうが人生が豊かになることは、 みんな理解しているのではないでしょうか。

それをヒルティは神の声といっているのだと思います。

これを実施するためには、自分よりも他人のことを思う愛と、自らの罪に抗う勇気が必要だと思います。

やるべきことの多くは他人のためになることですし、 やるべきことをやらないのは、罪(傲慢、嫉妬、憤怒、怠惰、強欲、暴食、色欲)を犯していると言えるのではないでしょうか。

人類が幸福になるためには、他人のことを思う愛と、自らの罪に抗う勇気が持つことが必要であるとヒルティはいっています。

 まとめ

 

世界全体が幸福になるためには、以下の3つが必要になります。

  1. 倫理的世界秩序に対する堅い信仰
    争いのない世界があることを信じ、人として正しい生き方をする。
  2.  倫理的世界秩序の中で働くこと
    事業を発展することを目的とせず、他人のために仕事をする。
  3. 不幸を受け入れること
    不幸を受け入れ、人のことを思う愛と、自らの罪に抗う勇気を持つ。

なかなか世界全体が幸福になる道は厳しいですが、愛と勇気に溢れた世界は、きっと素晴らしい世界だなと思いました。

 

最後にヒルティの言葉とアンパンマンのマーチの一部を伝えます。

 

  • 幸福は「ゆくての道に横たわる獅子」である。たいていの人はこれをひと目みて引きかえし、むしろ幸福に劣る何物かで満足するのである。
  • 利己心より目覚め、永遠を把握し、愛に導かれて、地上のものを手段と解し、これを支配する。これのみが世にありうる幸福の状態である。
  • 幸福とは神と共にあることである。これに到達する力は、魂の声なる勇気である。
  • そうだ!恐れないで!みんなの為に 愛と勇気だけが友達さ

 

あなたは幸福に劣る何物かで満足でしょうか?それとも勇気を出して幸せを目指しますか?

愛と勇気を持って、人類全員が幸福になる道を歩む覚悟があなたにはありますでしょうか?

 

参考文献

ヒルティ 幸福論(第1部) 岩波文庫

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