100万回生きた猫という絵本があります。佐野洋子さんの作品で、今も世界中で愛され続けてます。
今回はこの100万回生きた猫から、幸福に関して、特に愛に関して、考えたいと思います。
まずは、100万回生きたねこのあらすじから。
100万回生きたねこのあらすじ
100万回もしなない大きなとらねこがいました。あるときは、王様、あるときは、船乗りといったように、どろぼう、マジシャンやおばあさん、女の子などいろいろな人に飼われていました。
そして、100万人の飼い主が、そのねこをかわいがり、ねこが死ぬたびに、大きな声を上げて泣き、土に埋めました。
100万回目の人生で、ねこは野良猫として生まれ、初めて誰のものでもない自由を得ます。自分が一番好きなねこは自由を得れて大満足です。
そんな中、ねこは、白いねこに恋をします。
その白いねこのそばにいって、「おれは、100万回もしんだんだぜ!」と、ねこはと言います。
でも、白いねこは興味をもちません。
ねこは何かを感じ取り、100万回生きたことを話さず、
「ただそばにいてもいいかい」といいます。
白いねこは「ええ」といいます。
その後、たくさんの子ねこが生まれます。
とらねこは、自分よりも白いねこや子ねこのことが大好きになりました。
やがて年月は流れ、白いねこは、おばあさんになり、しずかにうごかなくなりました。
ねこは100万回泣き続けました。
そして、とらねこは白いねこのとなりで、しずかにうごかなくなりました。
ねこは、もう、けっして、生きかえりませんでした。
100万回生きたねこ x 哲学
あらすじだけでも、気持ちを揺さぶられますね。あなたはどう思いましたでしょうか?
僕は主人公のねこは100万回目にして、やっと幸福になれたのだと思っています。
100万回人生を生きたねこは、色々な経験をしています。王様の所での贅沢な生活やサーカスでの興奮する出来事、おばあちゃんとの静かな暮らし。ねこはどの人生でも主人に愛されていました。時には刺激的であり、退屈であった人生を猫は、幸せだとは思いませんでした。
いろんな人に愛される自分が大好きなねこは、100万回目にして愛する対象である白いねこに出会います。そして、子ねこたちが生まれ、その他の生活と比較して、退屈な日々に幸せを見出したのです。
なぜ、ねこは今までの人生と比較して、退屈な日々を幸せと感じたのでしょうか。
僕は、
・人は愛するために生まれてきた。愛するために生きるだけで、幸福である。
・愛は双方向であり、その愛による生活は、幸福である
ということを思いました。
それは、二人の哲学者の言葉があったからです。
一人目は哲学者ニーチェです。
- たった一度でも、何か喜ばしいことがあったのなら、他の嫌なことをすべて引き連れて、何度もその人生を生きるに値する
という発言をしています。
このたった一度でも何か喜ばしいことがあったらという発言ですが、これはニーチェが愛していたルー・ザロメと過ごした時間と言われています。
愛は他の嫌なことをすべて引き連れても、何度もその人生を生きるに値する。
人は愛するために生まれてきた。愛するために生きるだけで、それは幸せであるといってくれているような気がします。
ねこは、大好きな白いねこが、死んでしまった時、これから、白いねこがいない人生を過ごさないといけないと思ったのかもしれません。
愛する人がいない人生を生きる。それはねこにとって、死んでいるのと同じだったのかもしれません。
だから、白ねこに話をするとき、100万回生きたことを自慢するのをやめ、ただ、そばにいてもいい?と聞いたのだと思います。愛するものがいなかった人生、自分が価値を感じなかった人生を100万回生きることを自慢することができなくなったのだと思います。
二人目は哲学者ラッセルです。
ラッセルは、幸福論の中で、幸福の一つに愛情があり、最上のタイプの愛情についてこのようにいっています。
- 相互に生命を与え合うものだ。
- 一つの幸福を共有する結合体だと感じる愛情は、真の幸福の最も重要な要素の一つである。
ねこは、いろんな人に愛されていました。でも、幸せじゃなかった。それは、愛情が双方向ではなかったから。白いねこと出会って、双方向の愛を知り、ねこは幸せになれたのだと思います。
また、白いねこが死んだ時、ねこは100万回泣いています。それはもしかしたら、自分を愛してくれた飼い主の自分に向けた愛情に気づき、泣いたのかもしれません。
絵本の最後の見開きで、ねこと白いねこが肩を並べています。
もしかしたら、死んだ後、天国でもずっと一緒にいられたのかもしれません。
愛に生きること。それだけで、生きる価値があるのではと考えさせられました。
100万回生きたねこのように、生きれれば幸せですね。
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